こんにちは、ECF Tech
担当 Michiharu.Tです。
Excel VBA 実践レポートと題しまして、実用的なツールを作成するための試行錯誤の状況やプログラムの解説をお伝えしています。今回は、勤怠・給与管理ツール作成の第3回です。前回から作成している勤怠入力シートをブラッシュアップして、より使いやすいシートになるよう機能追加をします。
途中、筆者の試行錯誤が見える部分もあるかもしれませんが、ひとつのケーススタディとして活用頂ければとお思います。ハンズオン教材としても使用できますので、読者の皆様の要望にあった使い方をして頂けますと幸いです。
連載目次は下のリンクから、ご確認いただけます。

本記事の対象読者
- Excelの基本的な操作知識をお持ちの方
- Excel VBAの基本的な知識をお持ちの方
- Excel VBAで何らかのツール(便利なしくみ)を構築したいと考えている方
本記事で実装するしくみ
本記事では、次のしくみを実装します。
- カレンダー表示の祝日対応を実装する。
- 提出前の入力チェック機能を実装する。
実践レポート
ここから、実際の作成手順を紹介しながら、感じたことを合わせて書いていきたいと思います。
祝日対応の実装
祝日一覧表の作成
日付を設定するマクロに、祝日の曜日を赤色にする対応を追加します。祝日は、春分の日や秋分の日など、毎年少しずつ異なるものもありますので、下のような一覧表を、管理情報シートに追加しました。将来的な増加に備えて少しセルを多めに取っています。

祝日チェック関数の作成
まずは、祝日チェックの関数を作成しました。次のようになります。
Function IsHoliday(targetDay)
Dim ControlWs
'「管理情報」ワークシートを変数で保持
Set ControlWs = Worksheets("管理情報")
'祝日表と照合し、該当したらTrueを返す
Dim i As Integer
i = 0
'セルが空でない間くり返す
Do While Not IsEmpty(ControlWs.Cells(4 + i, 9).Value)
'対象日が祝日なら
If targetDay = ControlWs.Cells(4 + i, 9).Value Then
'Trueを返す
IsHoliday = True
'関数を終了
Exit Function
End If
i = i + 1
Loop
'すべての祝日をチェックし、該当なし
IsHoliday = False
End Function
Do While文内では、管理情報シートにある祝日一覧を1行ずつチェックしています。祝日に該当していればTrueを返します。なお、Excel VBAでは戻り値の設定をする際関数名 = 値と記述しますが、この記述自体が関数の終了を意味しません。直後にExit Functionと記述し、関数を途中終了させます。
祝日チェック処理の追加
関数ができたら、日付設定のプロシージャ内で祝日処理を対応します。第1回で掲載済みのマクロですが、追加部分を含めて全文を示します。プログラム中の(追加①)~(追加①ここまで)までが追加部分です。
Sub SetDays()
Dim year As Integer '年
Dim month As Integer '月
Dim day As Integer '日
Dim lastDay As Integer '末日
year = Cells(2, 1).Value '西暦取得
month = Cells(2, 4).Value '月取得
'日のみを取得
lastDay = getLastDay(year, month)
'日数分のくり返し
Dim i
For i = 1 To 31 Step 1
If i <= lastDay Then '実在日付チェック
'処理対象年月日
Dim targetYmd
targetYmd = DateSerial(year, month, i)
'日付の設定
Cells(8 + i, 1).Value = i
'曜日の設定
Cells(8 + i, 2).Value = Format(targetYmd, "aaa")
'曜日によって文字色を設定
Select Case Weekday(targetYmd)
Case 1 '日曜
Cells(8 + i, 2).Font.Color = RGB(&HFF, &H33, &H0)
Case 7 '土曜
Cells(8 + i, 2).Font.Color = RGB(&H0, &H66, &HFF)
Case Else '平日
Cells(8 + i, 2).Font.Color = vbBlack
End Select
'(追加①)
'祝日の場合は文字色を赤とする
If IsHoliday(targetYmd) Then
Cells(8 + i, 2).Font.Color = RGB(&HFF, &H33, &H0)
End If
'(追加①ここまで)
Else
'存在しない日付なら空を設定
Cells(8 + i, 1).Value = Empty
Cells(8 + i, 2).Value = Empty
End If
Next
End Sub
追加部分のプログラムでは、IsHoliday関数で祝日かどうかをチェックし、祝日であれば文字色を日曜日と同じ色にしています。
マクロが作成できたので、日付設定ボタンを押して確認です。ゴールデンウィーク時期の祝日が反映されていることが確認できます。

入力チェック機能の実装
シートの利用者が入力を正しく行えているかをチェックする機能を実装します。入力チェック機能は、プログラミングの難しさ以上に、どこまでチェックするかを決めるのに頭を悩ませるところがあります。利用の実態にあったチェック範囲を決めるようにしなければいけません。今回は、次のような仕様とします。
- 年、月、勤怠列、開始列、終了列、休憩列の入力チェックを行う。
- 平日で勤怠列が未入力の場合、エラーとする。
- 勤怠列の入力に応じて以下のチェックを行う。
- 勤怠列が「出勤」の場合:開始列、終了列のいずれかが未入力ならエラーとする。
- 勤怠列が「欠勤」「有休」の場合:開始列、終了列、休憩列のいずれかに入力があればエラーとする。
- 開始時刻と終了時刻が前後している場合、0の場合エラーとする。
マクロの作成例
入力チェックの仕様に基づき、作成したマクロを示します。
'シートの入力内容をチェックする
Sub checkSheet()
Dim year As Integer '年
Dim month As Integer '月
Dim lastDay As Integer '月末日を取得
Dim IsError As Boolean
Dim kintaiWs
IsError = False
'「勤怠入力」ワークシートを変数で保持
Set kintaiWs = Worksheets("勤怠入力")
'背景色をクリア
kintaiWs.Range("A2").Interior.Color = vbWhite
kintaiWs.Range("D2").Interior.Color = vbWhite
kintaiWs.Range("C9:N39").Interior.Color = vbWhite
'年の入力チェック
If kintaiWs.Cells(2, 1).Value = Empty Then
kintaiWs.Cells(2, 1).Interior.Color = vbYellow
IsError = True
End If
'月の入力チェック
If kintaiWs.Cells(2, 4).Value = Empty Then
kintaiWs.Cells(2, 4).Interior.Color = vbYellow
IsError = True
End If
'年または月が未入力の場合、メッセージを
'表示してマクロを終了(解説①)
If IsError Then
MsgBox "入力に誤りがあります。色つきの入力欄を確認してください。"
Exit Sub
End If
year = kintaiWs.Cells(2, 1).Value '西暦取得
month = kintaiWs.Cells(2, 4).Value '月取得
'日のみを取得
lastDay = getLastDay(year, month)
'31日分のデータを確認
Dim i
For i = 1 To 31 Step 1
Select Case kintaiWs.Cells(8 + i, 3).Value
Case "出勤"
'開始列未入力チェック
If kintaiWs.Cells(8 + i, 6).Value = Empty Then
kintaiWs.Cells(8 + i, 6).Interior.Color = vbYellow
IsError = True
End If
'終了列未入力チェック
If kintaiWs.Cells(8 + i, 9).Value = Empty Then
kintaiWs.Cells(8 + i, 9).Interior.Color = vbYellow
IsError = True
End If
'時間の前後不整合チェック(解説②)
If Not IsEmpty(kintaiWs.Cells(8 + i, 6).Value) _
And IsEmpty(kintaiWs.Cells(8 + i, 9).Value) Then
If kintaiWs.Cells(8 + i, 6).Value >= Cells(8 + i, 9).Value Then
kintaiWs.Cells(8 + i, 6).Interior.Color = vbYellow
kintaiWs.Cells(8 + i, 9).Interior.Color = vbYellow
IsError = True
End If
End If
Case "欠勤", "有休"
'開始列誤入力チェック
If Not IsEmpty(kintaiWs.Cells(8 + i, 6).Value) Then
kintaiWs.Cells(8 + i, 6).Interior.Color = vbYellow
IsError = True
End If
'終了列誤入力チェック
If Not IsEmpty(kintaiWs.Cells(8 + i, 9).Value) Then
kintaiWs.Cells(8 + i, 9).Interior.Color = vbYellow
IsError = True
End If
'休憩列誤入力チェック
If Not IsEmpty(kintaiWs.Cells(8 + i, 12).Value) Then
kintaiWs.Cells(8 + i, 12).Interior.Color = vbYellow
IsError = True
End If
Case Else
'平日に勤怠入力が無ければエラーとする(解説③)
If kintaiWs.Cells(8 + i, 2).Font.Color = vbBlack Then
kintaiWs.Cells(8 + i, 3).Interior.Color = vbYellow
IsError = True
End If
End Select
Next
'メッセージ表示(解説④)
If IsError Then
MsgBox "入力に誤りがあります。色つきの入力欄を確認してください。"
Else
MsgBox "入力チェックが、正常終了しました。"
End If
End Sub
いくつかのポイントを解説します。解説①~解説④の記述は、プログラム中のコメント記載の同番号と対応しています。
ワークシート変数の利用
1つのExcelブックに複数のシートが存在する場合、マクロ内ではワークシートを指定するのが良いと思います。ただその度に、Worksheets("勤怠入力")と入力してしまうと、プログラムの可読性(見やすさ)に影響します。そこで、Dim kintaiWsで変数を定義し、Set kintaiWs = Worksheets("勤怠入力")でワークシートオブジェクトを保持しています。以降は、kintaiWsと記述するだけでワークシートを指定できます。
エラー箇所の色づけ
入力チェック機能では、エラー箇所がわかりやすいように色づけをしています。しかし、利用者がエラー箇所の修正をする際に色まで元に戻さなければならないとなると便利なしくみとは言えません。そこで、入力チェックの最初の段階で利用者の入力範囲となるセル(A2,D2,C9~N39)を白に戻す操作をしています。
マクロの途中終了
解説①の部分では、この時点までに入力エラーがあった場合に、マクロを終了する処理としています。年および月の値が正しく入っていない場合、日を表す列の値が正しく入っていない可能性が高く、以降の処理が困難となるためです。
日ごとのチェック
Forループの中では、日ごとの入力チェックを行っています。Select Case文を使って、勤怠列の状況に応じて仕様に基づく処理を行っています。
開始・終了時刻の入力チェック
解説②の部分では開始時刻と終了時刻が前後してしまった場合の処理を行っています。時間の大小関係は過去 < 未来となります。開始時刻と終了時刻の両方が入力されているときのみ、チェックを行うようにしています。
平日判定と入力チェック
解説③は勤怠列に入力が無い場合の処理です。勤怠列では「平日で勤怠列が未入力の場合、エラーとする。」処理を追加する必要があります。平日を判定する方法としては曜日の値を見る方法がありますが、祝日に対応できません。そこで今回は曜日列の文字色が黒であることを利用することにしました。
エラーメッセージの表示
解説④の部分では、エラー有無に応じたメッセージを表示しています。変数IsErrorは、入力に1つでも誤りがあればTrue、無ければFalseになるように記述しています。IsErrorの値によって、適宜メッセージを表示しています。
入力チェックボタンの設置
マクロが作成できたら、入力チェックボタンを作成します。
メニューから、開発 > 挿入 > ボタンを選択します。

設置したい場所にドラッグ&ドロップすると下の画面が表示されますので、マクロ名に「checkSheet」を指定してOKをクリックします。

設置したボタンを右クリックし、テキストの編集をクリックします。

「入力チェック」とテキストを変更し、Enterキーを押せば完了です。
動作確認
最後に動作確認をしましょう。各入力列を入れ、入力チェックボタンをクリックすると次のように表示されました。各黄色セルのエラー内容は吹き出しのとおりです。

図中の吹き出しのとおり、各種入力エラー部分が黄色の背景になっています。また、メッセージウィンドウが表示されています。
まとめと次回の課題
今回は勤怠管理シートの作成にあたり、次の機能を実装しました。
- 祝日の色変更対応(マクロ)
- 入力チェック機能(マクロ)
ここまで3回の記事で、勤怠管理シートの作成レポートは一旦終了とさせて頂きます。まだまだ次のような改善の余地が残されています。より使い勝手の良いツール作成に向けて、マクロを検討してみて頂ければと思います。
- 休憩時間チェック。勤務時間が5時間を超える場合は、45分以上の休憩が取得できているか。など
- 計算式入力済みのセルの保護しつつ、マクロでの編集を可能にする。
本連載は次回以降、給与計算ファイルの作成をレポートする予定です。連載をとおして作成を進めている勤怠管理・給与計算ツール(下図)の給与明細出力処理を行うためのファイルになります。

本日も最後までお読みいただき、ありがとうございました。引きつづきご活用頂けますと幸いです。

